研ぐ前の下準備だけで、切れ味が驚くほど改善するケースも多い。まず確認すべきは、刃の噛み合わせを決める中央のネジ(カシメ)の緩みだ。ここがグラついていると、いくら刃を鋭く研ぎ上げても紙を巻き込んでしまう。ネジ留め式なら精密ドライバーでわずかに締め込み、カシメピンなら金床の上で軽く叩いて圧を調整する。
次に、刃全体の脱脂と清掃だ。消毒用エタノールや除光液を含ませた布で拭き取るだけで、テープの粘着残りによる引っかかりは一掃される。仕上げにミシン油や刃物専用の椿油を薄く一滴馴染ませ、布で拭き上げる。貝印などの一流刃物メーカーも推奨するこの基本ルーティンを怠らないことこそが、道具を長持ちさせる最大の秘訣だ。