日常的に海辺で見かける「普通の波(風浪)」と「津波」は、発生メカニズムもエネルギーの規模も根本から異なります。この違いを理解していないことが、初動の遅れを生む最大の原因です。
普通の波は、海面に吹く風によって表面の水だけが揺れている現象であり、波長(波の山から次の山までの長さ)は数メートルから数百メートル程度、波が押し寄せる時間は数秒です。そのため、1メートルの波が来ても、ジャンプしたり潜ったりしてやり過ごすことができます。
一方、地震などによって海底地盤が隆起・沈降して発生する津波は、「海底から海面までの海水全体が一つの巨大な塊」となって押し寄せます。その波長は数キロメートルから数百キロメートルにも及び、水が一気に押し寄せる時間は数十分から1時間以上も続きます。
1メートルの津波が体に当たったときの水圧体感は、プールや波打ち際のそれとは全く別物です。秒速数メートルの勢いを持つ巨大な「水の壁」が絶え間なく押し続けるため、大人が踏ん張ろうとしても数百キログラムの力で後ろへ押し倒される感覚に襲われます。足裏の摩擦力は完全に失われ、陸上でありながら激流の川の真ん中に放り出された状態となります。