過熱する観光公害や環境負荷が国際的な課題となる中、阿佐ヶ谷の自律的なエコシステムは海外の都市文化誌やメディアからも熱い視線を浴びている。既存のホールや大規模施設を建設・占有するのではなく、地域に根付いた商店街や公共領域をそのまま活用し、経済的還元を地元へダイレクトに流し込む構造が見事だからだ。
フリーパスを握りしめた観客は、ステージを回る合間に裏通りの立ち飲み屋で喉を潤し、古本屋を覗き、喫茶店でネルドリップの珈琲を味わう。音楽が人を呼び、人が街を歩き、街の商いが潤う。この自然体な循環構造が、三十年を超えて途切れることなく機能している。