「家庭で炒飯が失敗する最大の要因は、火力不足ではありません」
都内の人気中華料理店で30年腕を振るうシェフは、そう断言する。私たちが陥りがちな勘違い、それは「とにかく強火で炒め続ければパラパラになる」という信仰だ。家庭のガスコンロやIHヒーターでプロの中華鍋レベルの熱量を維持しようとすると、フライパンの表面温度は一気に下がり、結果として米から出た水分が蒸発せずに蒸し焼き状態になってしまう。
目指すべきは、米の表面を油でコーティングしつつ、内部の水分を適度に残した「パラパラかつ、しっとり」した状態。これを作り出すのに必要なのは強い炎ではなく、炒める前の「米と油、卵のなじませ方」という前処理のロジックなのだ。