あえて飾らない、不器用なフォント。思わず二度見してしまうグラフィック。高級ハイブランドの洗練されたミニマリズムが街にあふれ返った反動として、今、このシュールなアイロニーが強烈な光を放っている。
「最初は友達のウケ狙いで買ったんです。でも着て街に出ると、知らない人から声をかけられたり、店の店員さんに突っ込まれたりする。服一つで周りの空気が一瞬で和む感覚は、他のブランドにはない」と、原宿の路上で取材に応じた20代のグラフィックデザイナーは熱っぽく語る。機能性やプレミアム感を競い合う既存のファッション業界において、肩の力を完全に抜いたデザインが一種のアンチテーゼとして機能している。