本作の凄みは、重厚な政治的企みと、徹底して愚直でバカバカしいギャグ要素が完璧な調和を保っている点にある。ヘガデル博士が開発したエネルギー「メガヘルス」を巡る国家間の陰謀劇、そしてその実態が「芋を食べさせて強烈な屁を噴射させる」という不条理きわまりない兵器であるという落差。この跳躍力こそが『クレヨンしんちゃん』という作品の凄みだ。
世界を揺るがす国家規模の企みが、最終的には屁の爆風と子どもたちの純粋な行動によって破綻していく。一見するとナンセンスな展開の裏には、「国家の体裁や大人たちの権力闘争など、子供の純粋な笑顔や家族の平和に比べれば下らないものだ」という強烈なアンチテーゼが潜んでいる。大爆笑の果てにハッとさせられるこの皮肉と爽快感は、他の映画では絶対に味わえない唯一無二の体験だ。