原作者のダルトン・トランボは、第一次世界大戦の惨禍を背景にこの小説を書いた。しかし、彼が描いたのは前線の銃撃戦ではない。病院のベッドという、極めて静かで、かつ最も残酷な戦場だ。国家のプロパガンダによって戦地に送り出され、用が済めば「生ける屍」として隠蔽される存在。
これは、現代の「情報戦」に通じるものがある。メディアが報じる華々しい兵器のスペックや戦況の裏で、個人の命がどのように消費されているか。トランボの鋭い告発は、アルゴリズムによって都合のいい情報だけを見せられている現代人にとって、冷水を浴びせられるような衝撃を持っている。