広島の高校野球といえば、長年にわたり広陵や広島新庄といった甲子園常連の私立強豪校が他を寄せ付けない圧倒的な強さを誇ってきた。運動施設の充実度や全国から集まる有望選手たちの層の厚さにおいて、地方の公立校が後塵を拝するのは半ば当然の前提とされていたのがこれまでの構造だ。
しかし、今年の市立福山はその固定観念を根底から覆した。投手陣を指揮する監督とアナリスト役の選手たちが導入したのは、相手打者のスイング傾向やカウント別の球種選択率を詳細に視覚化した独自のアナリティクスツールだ。決勝戦でも、広陵のクリーンアップに対して徹底的に内角を突く強気の配球を貫き、相手の狙い球を外すことに成功。数字に裏打ちされた根拠ある強気が、強豪のプレッシャーを跳ね返す最大の武器となった。