ネット上の掲示板やSNSでは、シーズン開幕期になると「なぜ日本のテレビ局は大谷翔平の全試合を地上波で中継しないのか」「放映権を買い渋っているのではないか」という不満の声が散見されます。しかし、大手在京キー局のスポーツ編成担当者は次のように実情を打ち明けます。
「現在のMLB放映権料は世界的な配信プラットフォーム間の獲得競争によって年々高騰を続けており、1シーズンあたりの権利料は数十億円から数百億円規模に跳ね上がっています。平日午前中の地上波情報番組枠を差し替えて毎年生中継を実施した場合、得られる広告スポット収入に対して放映権コストが完全に逆ザヤとなり、商業放送として事業が成立しません」(民放キー局スポーツ編成関係者)
かつて昭和から平成初期にかけてプロ野球・巨人戦の地上波全国ネット中継が日常だった時代とは異なり、現代のメディア環境は「マス広告による回収モデル」から「特定ファンによるダイレクト課金(サブスクリプション)モデル」へと決定的なパラダイムシフトを遂げました。現在、メジャー放送地上波テレビが生中継を行うのは、日本国内で開催される開幕カードやワールドシリーズの頂上決戦など、20%超の特大視聴率が見込めるごく一部のプラチナカードに絞り込まれているのが動かせない現実です。
したがって、「待っていれば地上波で大谷選手の試合が毎日観られる」というのは完全な誤解であり、日常的な観戦環境を構築するにはBS衛星契約か配信サブスクへの加入が不可欠となります。