正義感に溢れるジュディの猪突猛進さと、世すれしたニックの皮肉混じりの優しさ。この対極的なふたりの関係性こそが『ズートピア』の心臓部だ。上戸彩は、夢を追う真っ直ぐな瞳の輝きを、伸びやかで力強い声筋で表現する。一方で「声優界の帝王」と称される森川智之は、低音の甘さと軽妙さを絶妙な塩梅で交差させ、ニックという複雑なキャラクターに唯一無二の包容力を与えた。
スクリーンで再び二人の掛け合いを耳にした瞬間、劇場内には独特の緊張感と温かみが漂う。前作からの年月を経て、互いの演技の間合いはさらに洗練された。セリフとセリフのほんの一瞬の「間」に宿る感情の機微は、生身の俳優同士が舞台上で対峙しているかのような錯覚さえ覚えさせる。