法的性別を変更するための「性同一性障害特例法」をめぐる情勢は、司法判断により大きな転換点を迎えています。
最高裁判所大法廷は2026年、戸籍上の性別変更要件のうち「生殖腺がないこと、または生殖機能を永久に欠く状態にあること(生殖不能要件)」について違憲判断を下しました。さらに外観要件(性器の形状が変更先の性別に近似していること)についても高裁・地裁レベルで柔軟な判断が示されるなど、手術を必須としない法的変更の道筋に関する法改正議論が国会および司法現場で続いています。
一方、性別適合手術の公的医療保険適用に関しては、制度上の壁が残されています。2018年に保険適用自体は認められたものの、「ホルモン療法を受けていると保険適用外(自由診療との混合診療の禁止)」という厚労省の規定により、大半の当事者が実質的に10割全額自己負担を強いられているのが現場の実態です。2026年時点においても、国内指定医療機関での受術待機期間の長さと相まって、タイなど海外の専門医療機関を選択する人が後を絶たない背景となっています。