2019年から2026年頃にかけて社会現象を巻き起こした「お笑い第7世代」というフレーズは、数年を経てその内実が劇的にふるい落とされました。ブームの過熱によってテレビ各局がこぞって無差別に出演させた結果、トークスキルや平場対応力が追いつかなかった一部のコンビは露出を減らし、お笑い第7世代の現在は「実力派の生き残り」と「メディア露出減」の二極化が顕著です。
霜降り明星のようにYouTubeと地上波冠番組の両輪でトップランナーの地位を不動のものにした勝者がいる一方で、ブームの看板を失った途端に現場での苦戦を強いられた芸人も少なくありません。都内のライブ制作会社デスクは、当時の熱狂と現在をこう振り返ります。
「第7世代ブームの頃は、事務所のネームバリューと若さだけでチケットが即完売していました。しかし観客の目は極めてシビアです。ブームが一巡した現在は、ネタが面白いか、配信やトークに真のパーソナリティがあるかしか見られていません。ブームで知名度を得た上で、独自のライブシーンを作り直した者だけが生き残っています」
そして現在、現場の最前線で熱い視線を集めているのが、一般に「第8世代」あるいは「賞レース直結世代」と呼ばれる新勢力です。この世代の象徴が、M-1グランプリを史上最年少クラスで制覇した令和ロマンであり、演劇とお笑いの境界を融解させたダウ90000などの異才集団です。
特筆すべきは、若手芸人劇場動員力の質的な変化です。かつてのように「テレビに出て知名度を上げてから劇場を満員にする」のではなく、「神保町よしもと漫才劇場や下北沢の小劇場で圧倒的な熱狂を作り出し、その動員力と配信売上を武器にテレビへ逆輸入される」というルートが完全に定着しました。お笑い第8世代ネクストブレイクの有力候補たちは、テレビ番組のひな壇で消費されることを警戒し、自主単独ライブの企画性や独自のYouTubeチャンネル運営を最優先する傾向が極めて顕著です。