作品の骨子を端的に要約すると、「自然への畏敬の念を持ち、自立した個人(自己確立)となった上で、他者をいたわる心(思いやり)を持って生きてほしい」という一点に集約されます。
司馬遼太郎はまず、人類が何万年もの間、自然の恵みを受けながら助け合って命をつないできた歴史のバトンに触れます。人間は決して単独では生きられない存在だからこそ、社会を維持するためにルールや道徳が育まれてきました。
その歴史を踏まえ、筆者の主張として提示されるのが次の2つの条件です。
- 自分を厳しく律し、頼れる自己をつくること(自己の確立)
- 他人の痛みを自分の痛みとして感じ、助け合うこと(思いやり)
この2つが揃って初めて、人間は真に自立し、豊かな社会を築くことができると司馬は力説しました。子ども向けの平易な言葉遣いでありながら、人間の本質を鋭く突いた人生の哲学書といえます。