1999年の開設以来、匿名掲示板は社会のガス抜き弁であり、同時に先鋭的な情報発信基地でもあった。古くからの住人である「ねら」たちは、独自の隠語やアスキーアートを生み出し、外部からはうかがい知れない強固なコミュニティ意識を形成していった。互いを特定のコテハン(固定ハンドルネーム)ではなく匿名として扱う文化は、フラットな議論を可能にした反面、独特のアングラ感も醸し出していた。
「〇〇ちゃん」と親しみを込めて呼び合うスレッドの雰囲気や、自虐を交えたジョークの数々は、当時の若者文化と強く共鳴した。個人の属性を削ぎ落とした「名無し」というアイデンティティが、皮肉にも最も人間臭い空間を作り出していた点は興味深い。