ネットカルチャーの歴史を検証する上で避けて通れないのが、「ワロタあんてな」に代表されるアンテナサイトや、まとめブログ(まとめサイト)の台頭です。2000年代後半から2010年代にかけて、膨大なテキストログから面白いレスだけを抽出・編集した「まとめ速報」は、一般層へネットスラングを普及させる強力な起爆剤となりました。
しかし、ここには多くのユーザーが見落としがちなネットリテラシー上の盲点が存在します。
1. 「実話」と「釣り(創作)」の境界線
当時読者を大笑いさせたスレッドの中には、卓越した文章力を持つ職人による「巧妙な創作(釣りスレ)」が数多く含まれていました。2ちゃんねるには草創期から「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という有名な教訓が存在しました。当時のコミュニティでは「騙されて笑うこと」自体が暗黙の了解(お約束)として楽しまれていましたが、まとめサイト経由で断片的に摂取したライト層が「すべて現実の事件」と誤認して拡散するトラブルも多発しました。
2. 転載・改変による文脈の脱落
まとめブログの編集過程において、スレッド本来の冗長なやり取りや、住人同士の激しい議論・軌道修正のプロセスが切り落とされ、オチだけが誇張されるケースが定着しました。これにより「テンポよく笑えるコンテンツ」としての消費スピードは加速したものの、スレッド全体が醸し出していた独特の哀愁やアンダーグラウンドな空気感は徐々に希薄化していったという側面もあります。