こうした闇の構造は、近年の映像エンターテインメントでも極めて写実的に描かれている。例えば、HBO MaxとWOWOWの共同制作で世界的ヒットとなった『Tokyo Vice』。90年代から現代に至る東京のアンダーグラウンドを重厚に描き出した同作では、都市の日常の背後に横たわる暴力団の影と、警察との息詰まる攻防が描かれた。
また、Netflixで世界配信され大きな反響を呼んだ映画『ヤクザと家族 The Family』は、時代の変遷とともに追い詰められていく男たちの哀歌を描くと同時に、暴排条例によって居場所を失った組員たちがどのように潜伏し、生き残りを図ろうとしたかをリアルに描写している。優れたクライム・サスペンスであり、現代社会の歪みを浮き彫りにする社会派ドキュメンタリーのような鋭さを持つこれらの作品は、画面の向こう側の出来事ではなく、我々の足元にある現実に他ならない。