最も誤解されやすいのが、絶縁における法的効力の有無です。結論から言うと、血縁関係にある実の親子関係を法的に消滅させる手続きは、日本の現行法には存在しません(※例外として、第三者と特別養子縁組を結んだ場合のみ実親との法的な親子関係が終了します)。
よく「親を戸籍から抜きたい」という相談が見られますが、成人していれば誰でも単独で新しい戸籍を作る「分籍」という手続きは可能です。しかし、分籍を行っても筆頭者が自分になるだけであり、戸籍謄本の父母欄に実親の氏名が残り続ける事実に変わりはありません。
さらに重要なのが縁を切った場合の相続権の扱いです。どれほど長年連絡を絶ち、絶縁状態が続いていたとしても、法律上の法定相続人としての地位は自動的には消滅しません。親が亡くなれば子どもには相続権が発生し、逆に子どもが遺産を残して亡くなった場合にも親が相続人になる可能性があります。
「一切の財産を渡したくない」「親の遺産を相続したくない」と考える場合は、以下のような法律行為が不可欠となります。
- 遺留分の放棄・相続人の廃除:虐待や重大な侮辱があった場合、家庭裁判所に申し立てて相続権を奪う「推定相続人の廃除」を請求する。
- 公正証書遺言の作成:特定の第三者や慈善団体などに全財産を遺贈する旨を明記し、遺留分対策を施す。
- 相続放棄:親が多額の借金を残して亡くなった場合、相続開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する。