彼女の名を決定づけた金字塔といえば、今泉力哉監督が手がけた痛快で痛烈な恋愛映画『愛がなんだ』だ。主人公・山田テルコを演じた岸井ゆきのは、相手役の成田凌演じる「マモル」への執着と全方位的な依存を、恐ろしいほどの生々しさで描き出した。
浴室での密着シーンやベッド上での攻防は、単なる色香の演出に終わらない。相手の都合に翻弄されながらも、それすら歓喜として受け止めてしまう歪んだ愛の形。追い詰められた女の滑稽さと愛おしさが肌のぬくもりを通して画面越しに伝わってくる。恋愛の甘さ以上に、その背後にあるグロテスクな情念を全裸に近い姿で表現しきった演技は、公開当時から現在に至るまで語り継がれる衝撃作となった。