人間の脳は、複雑な情報を処理する際に、単純化した指標に頼りがちだ。これを「ヒューリスティック」と呼ぶ。打率は、その典型例である。数字が一つあれば、すぐに「良い」「悪い」と判断できる。しかし、その単純化が誤った結論を導くことも多い。
「おかしいのはお前の打率」という言葉は、この認知バイアスに対する警告でもある。私たちは、自分が理解しやすい指標だけを見て、全体像を見失っていないか? その問いかけが、この言葉には込められている。
確証バイアスと打率批判
例えば、ある選手が打率.220と低迷しているとする。ファンは「この選手はダメだ」と決めつけ、その後の凡打だけを記憶する。しかし、その選手が四球を選び、守備で好プレーを見せ、チームの勝利に貢献している事実は無視される。これが確証バイアスだ。
「おかしいのはお前の打率」という反論は、このバイアスを打ち砕く。批判する側の「打率」(=物事を判断する能力)こそがおかしい、と指摘するのだ。