中川の街が持つ最大の資産は、街の計画段階から計算し尽くされた完全な歩車分離構造だ。駅から足を踏み出すと、車道と交差することなく広大な公園群や住宅街へとつながる「くさぶえの道」などの緑道がどこまでも伸びている。子どもたちの歓声が木々にこだまし、高齢者が安全に散歩を楽しむ光景は、過密化する都市が失った心地よい距離感を思い出させてくれる。
2026年現在、この緑道ネットワークは環境配慮型のモビリティや地域ケアの動線としても機能しており、排気音のない静寂のなかで人々が日常の移動を完結させている。木漏れ日を浴びながら歩く数十メートルが、居住者のストレスを穏やかに溶かしていく。