東京国際フォーラムのガラス棟を見上げた誰もが直感するのは、頭上に広がる骨組みが「巨大な船の竜骨(キール)」そのものであるという事実です。この独創的なデザインは、ウルグアイ出身の名建築家ラファエル・ヴィニオリ(Rafael Viñoly)氏の手によって生み出されました。1989年に開催された日本国内初の国際建築家連合(UIA)公認国際公開設計競技(コンペ)において、世界50カ国・395作品の中から最優秀賞に選ばれた歴史を持ちます。
構造的な最大の特徴は、屋根全体をわずか2本の巨大な柱で支え、長さ約126mにも及ぶ舟形トラス梁を吊り下げている点にあります。約2,600枚の特殊ガラスで構成されたカーテンウォール越しに外光が差し込み、日中は刻一刻と変化する光と影の陰影がフロア全体に投影されます。単なる展示施設や通路にとどまらず、都市の中に「光の器」を作り出したヴィニオリ氏の設計思想は、竣工から四半世紀以上を経た現在でもまったく色褪せない普遍性を誇っています。