1968年に放送が開始された大ヒットアクションドラマ『キイハンター』は、千葉真一さんの名を日本全国へ決定づけた記念碑的作品です。走行中の電車にしがみつく、離陸する軽飛行機に飛び乗る、ヘリコプターからロープ1本で吊り下げられるといった、CGが存在しない時代の命がけのスタントはすべて本人が生身で敢行。毎週土曜夜の視聴者を釘付けにしました。
この『キイハンター』で共演したのが、後に妻となる野際陽子さんでした。NHKアナウンサー出身の知的で流麗なフランス語を操る野際さんと、鍛え抜かれた肉体で躍動する千葉さんのカップリングは「大人の理想的なパートナーシップ」として国民的な憧れの的となります。1973年の結婚式や、長女である真瀬樹里さんの誕生など、公私ともに華やかなスポットライトを浴びました。
さらに千葉さんは1970年、自らの私財を投じてジャパン・アクション・クラブ(JAC)を設立します。「日本の映画界には、命を張って危険なシーンを演じるスタントマンへの敬意と体系的な育成機関が足りない」という強い危機感が動機でした。ここから真田広之さん、志穂美悦子さん、大葉健二さん、伊原剛志さんといった、日本や海外で大活躍する名優たちが次々と巣立っていきました。千葉さんは単なる一介のスターにとどまらず、日本のアクション産業のインフラそのものを創出した偉大な先駆者だったのです。