トロンボーンは構造上、スライドを動かして音高を変えるため、素早いフレーズや激しいステージアクションとは相性が悪いとされることが多い。しかし、増井はこのハンディキャップを独自の奏法と音作りの哲学で克服した。
第一に、彼のスライドワークは無駄がなく極めて正確である。激しいロックのビートの中でもアタックがボケず、立ち上がりの鋭いサウンドを放つ。第二に、トロンボーン特有の中低音域(ミッドベース)の鳴らし方を知り尽くしている点だ。ベースラインとギターリフの隙間に絶妙な厚みを持たせることで、バンド全体のサウンドを一回りも二回りも大きく聴かせるアレンジャーとしての鋭い嗅覚が、演奏自体にも反映されている。