不起訴処分を受けて釈放された佐野選手は、数日の自宅待機を経てすぐさまドイツへと渡航しました。現地ファンの間でも当初は獲得撤回や契約解除を求める声が上がっていましたが、マインツ首脳陣は契約維持を選択し、国内リーグ開幕戦からピッチに立たせる決断を下しました。なぜ、欧州クラブは出場停止処分すら科さなかったのでしょうか。
その背景には、欧州における無罪推定の原則(Presumption of Innocence)の徹底と、冷徹なフットボールビジネスの経済的思惑が存在します。以下の比較表は、日独の対応差と契約上の実態を整理したものです。
ドイツの労働法およびフットボール界の通例において、刑事告発されて有罪判決が出ない限り、労働者としての権利(プレーする権利)を剥奪することは極めて困難です。マインツのクリスティアン・ハイデルSD(スポーツディレクター)をはじめとする幹部は、日本の司法手続きを精査した弁護士の見解を取りまとめ、「日本の検察当局が事件を終結させた以上、選手を受け入れる義務がある」と声明を発表。クラブの投じた約4億円の移籍金を無駄にせず、戦力として回収する実利主義を選択したのです。