救急医療や口腔外科の現場において、医師たちが最も危機感を募らせているのが「痛みが自然に消えたから大丈夫だと思っていた」という患者の告白です。歯痛が数日間続いた後、突如として痛みが消失するのは、患部が治癒したのではなく歯髄の神経線維が完全に壊死して感覚を失ったに過ぎません。
SNSやネット掲示板、Q&Aサイト上でも「歯医者が怖くて市販の痛み止めを1日何錠も飲んで耐えた」「痛みが引いたから放置していたら、半年後に顔の右半分が信じられないほど腫れ上がった」という投稿が無数に見受けられます。取材に応じた総合病院の口腔外科医は次のように警告しています。
「痛みが消えた後の期間こそが最も危険です。神経が死んだ歯の内部は細菌の格好の温床となり、骨の中でガスと膿が無制限に溜まっていきます。ある日突然、強烈な腫れと高熱に見舞われ、救急車で運ばれてきたときにはすでに顎の骨が溶けている例が後を絶ちません」