1970年代のテレビドラマ業界において、左とん平の存在感は唯一無二だった。とりわけTBSテレビで放送された名作ホームドラマ『時間ですよ』への出演は、彼をお茶の間の人気者へと押し上げる決定打となった。銭湯「松の湯」を舞台に繰り広げられる人間模様のなかで、少しおどけた従業員役を飄々と演じ、視聴者を釘付けにした。
さらに、日本テレビ系で大ヒットを記録した『西遊記 (1978年のテレビドラマ)』での猪八戒役(初代の西田敏行から引き継いだ『西遊記II』での熱演)は、今なお語り草となっている。豚の鼻をつけ、欲深いがどこか憎めない愛嬌たっぷりのキャラクターを人間味豊かに体現。子どもから大人まで幅広い世代の支持を獲得した。
テレビドラマのみならず、重厚な時代劇でも悪代官の手下から人情味あふれる長屋の住人まで縦横無尽に演じ分け、物語に確固たるリアリティと深みをもたらす“名脇役”としての評価を不動のものにしていった。