古民家風住宅の完成度を左右するのが、外観と内装のマテリアル選定です。現代の工業製品と伝統的な意匠をどう調和させるかがデザインの肝となります。
外観においては、深い軒の出(のきので)と陰影のある外壁仕上げが風格を生み出します。黒や濃いチャコールグレーの焼杉風サイディング、縦格子(ルーバー)、いぶし瓦調の屋根材を組み合わせることで、周囲の街並みに埋没しない凛とした佇まいが完成します。軒を深く出す設計は、夏の強い日差しを遮り、雨水から外壁を守るという実用的な耐久性向上にも直結します。
内装においては、本物の古民家から解体・回収された古材利用(梁や柱の再利用)を検討する施主が増えています。古材を取り入れる最大のメリットは、新材には決して出せない歳月が刻んだ木肌の艶、割れ、手斧(ちょうな)の削り跡による圧倒的な存在感です。
しかし、古材の利用には知っておくべきデメリットも存在します。 第一に、古材の洗浄、燻蒸(害虫駆除)、釘抜き、乾燥などの下処理に多大な費用と日数がかかる点です。 第二に、一本ごとに寸法や強度が異なるため、構造計算への反映が難しく、建築確認申請の手続きが複雑化するリスクがあります。 コストや工期を現実的に抑えたい場合は、新材にブラシをかけて木目を浮き立たせ、植物油ベースの自然塗料で古美色に仕上げるエイジング加工技術を採用するのが極めて合理的です。