かつて伝説の冒険家・植村直己 (Naomi Uemura) が未知なる極地に挑んだ時代から、人類は己の背中に生命線となる道具を担ぎ続けてきた。過酷な環境下で生き延び、前へ進むための基地を丸ごと背負う。その哲学は現代のハイカーや旅人にも受け継がれている。数日間の山行をこなす縦走登山や、世界中を気ままに巡るバックパッキングにおいて、50L大型バックパックは自立した旅を可能にする最小にして最大の要塞だ。
映画『WILD わたしがハイキングをみつけた日』の中で、主人公が巨大なバックパックに翻弄されながらも、歩みを進めるうちにギアと身体を一体化させていく姿が強い印象を残す。道具の選択は、単なる買いものではない。旅の質そのものを左右し、自身の可能性を広げるための重要な決断なのだ。