看板の先にある「月」地区は、かつて天竜川の水運で栄えた静かな集落だ。現在は高齢化が進み、住民はわずか数十人。そこに押し寄せる観光客の波に対し、地元の人々は複雑な表情を見せる。ゴミのポイ捨てや無断駐車といった観光公害(オーバーツーリズム)の懸念はゼロではない。
それでも、地元の住民たちはこのブームを好意的に受け止めようとしている。元々は何もない山奥だと思われていた場所に、若い世代が笑顔でやってくる。それだけで集落に活気が戻ったように感じられるからだ。最近では、地元の特産品を使った「お月見団子」や「月行き切符」を模した記念品を販売する動きも出てきており、静かな山村に新たな経済循環が生まれつつある。