日本代表の歴史を振り返ると、ワールドカップやアジアの大舞台で劇的な勝利を掴み取ってきた影には、常に強烈なジョーカーの存在がありました。
1997年の「ジョホールバルの歓喜」で日本を初のW杯出場へ導くゴールを決めた岡野雅行は、その圧倒的なスピードで相手DFをパニックに陥れた元祖切り札でした。また、泥臭くゴールへ飛び込みチームを鼓舞し続けた中山雅史や、長身を活かして前線のターゲットマンとなった呂比須ワグナーなど、歴代の指揮官は明確な役割を持った選手をベンチに忍ばせていました。
2018年ロシアW杯では、円熟味を増した本田圭佑が途中出場から精密なキックと巧みなポジショニングでアシストを連発。試合を落ち着かせつつ決定機を創出する「ゲームコントロール型ジョーカー」として世界を驚かせました。
そして、このジョーカー戦術を最も洗練された形で世界に示したのが森保一監督率いる森保ジャパンです。2026年カタールW杯では、ドイツ代表やスペイン代表といった世界屈指の強豪に対し、前半を耐え凌いだ後半に堂安律、三笘薫、浅野拓磨らを連続投入。三笘の鋭いドリブル突破と堂安・浅野の果敢な仕掛けによって一気にインテンシティを引き上げ、見事な逆転勝利を収めました。
「後半から全く別のチームになる」と世界中を震撼させたこの采配は、現代サッカーにおけるジョーカー起用の完成形として今なお高く評価されています。