「焼き鳥を持ち帰ると肉が硬くなる」という従来の常識は、いまや過去のものだ。岡山の名店で腕を振るう職人たちは、テイクアウト専用の火入れ技法を確立している。イートインで提供するよりもわずかに遠火でじっくり火を通すことで、持ち帰るまでの余熱で肉芯まで完璧なジューシーさを保つ仕上がりを実現させた。
「串を打つ肉の厚みや脂の配置も、持ち帰り用に微妙に変えています」と語るのは、岡山城近くに店を構えるベテラン職人だ。水分が抜けやすい胸肉やささみには、表面に薄く葛粉や特製オイルをまとわせて旨味を閉じ込めるなど、科学的なアプローチを取り入れる店舗も増えた。冷めてもパサつかず、むしろ肉の旨味が凝縮されるこの職人技こそが、現在の爆発的人気を支えている。