飲食店の24時間営業はなぜ激減したのか?深夜撤退の真相と最新動向

飲食店の24時間営業はなぜ激減したのか?深夜撤退の真相と最新動向

飲食店の24時間営業はなぜ激減したのか?深夜撤退の真相と最新動向の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でまとめました。

深夜に飲食店へ行けばいつでも温かい食事ができる――そんな日本の当たり前が崩壊した最大の契機は、外食産業の巨塔による方針転換でした。かつてファミリーレストランの深夜営業を牽引してきたすかいらーくホールディングスは、2026年以降に大規模なすかいらーく深夜営業見直しを断行。ガストやジョナサン、バーミヤンなど全国数千店舗におよぶグループ店で深夜営業を原則廃止し、閉店時間を23時前後に前倒ししました。この決定は業界全体に決定的な影響を与え、ロイヤルホストやサイゼリヤなど競合各社も追随、瞬く間にファミレスの深夜営業廃止が全国のスタンダードとなりました。

各チェーンが軒並み飲食店が24時間営業を取りやめる理由として挙げるのは、情緒的な理由ではなく冷徹な経済合理性です。特に深刻なのが深夜営業における人手不足の背景に横たわる労働環境の激変です。厚生労働省の各種雇用統計でも示されている通り、生産年齢人口の急減に伴い、夜間帯のアルバイト・パートの獲得競争は激化の一途をたどっています。深夜22時以降は労働基準法により25%以上の割増賃金が義務付けられていますが、時給を引き上げても求人応募がほとんど集まらない事態が常態化しました。結果として店長や正社員が過酷な長時間労働や連続ワンオペを強いられ、現場の疲弊と離職が連鎖する構造的危機に陥ったのです。

さらに追い討ちをかけたのが、24時間営業を続ける飲食店の採算性の急激な悪化でした。電気代やガス代などのエネルギーコストが歴史的高騰を記録し、食材原価も上昇し続けるなか、深夜帯の売上は客足の夜型離れによって激減しました。深夜0時から早朝6時までの時間帯は、もはや開ければ開けるほど赤字が膨らむ「不採算時間帯」へと転落したのです。客単価の低いファミレスや軽食店では、深夜スタッフの人件費と光熱費を賄うことすら困難になり、営業時間を潔く切り詰めて昼から夜のピークタイムに経営資源を集中させる戦略こそが、企業の生き残りに不可欠な防衛策となりました。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。