木彫り熊と一括りに言っても、その表現スタイルは作家や地域によって劇的に異なります。大きく分けて「毛彫り」と「面彫り」という対極的なふたつの技法が存在します。
毛彫り(めぼり)の凄み
鋭利な鑿(のみ)や彫刻刀を細かく入れ、熊の密生した冬毛の一本一本を狂いなく表現する技法です。光の当たり方によって毛並みが浮き上がり、まるで本物のヒグマが呼吸しているかのような臨場感を生み出します。特に札幌の職人たちは、リアルな筋肉の躍動感と毛並みの美しさを極限まで追求しました。
面彫り(めんぼり)の抽象美
対照的に、毛並みを彫り込まず、斧や大きな鑿で一気に面を削り出す手法です。「カット彫り」とも呼ばれます。無駄な装飾を削ぎ落としたシャープな造形は、モダン彫刻そのもの。八雲を発祥とするこのスタイルは、北欧家具やアール・デコを彷彿とさせ、現代のインテリアデザイナーやアートコレクターから絶大な支持を集めています。