飲食店や小売店で両者を見比べた際、誰もが直面するのが圧倒的な価格差です。スーパーの惣菜売り場でも、穴子の握りや天ぷらが手頃な価格で並ぶ一方、国産うなぎの蒲焼きは1尾3,000円から4,000円を超えることも珍しくありません。このうなぎと穴子の値段の違い理由には、自然界の生体系破壊と養殖技術の構造的課題が直結しています。
うなぎ価格高騰の経緯と現在を辿ると、市場に出回るうなぎの99%以上が養殖モノであるにもかかわらず、その養殖が「天然のシラスウナギを海で捕獲して育てる養殖」に完全依存している点が最大の急所です。1970年代からシラスウナギの漁獲量は地球規模の海洋環境変動や乱獲、河川改修に伴う生息域減少によって右肩下がりに急減しました。
この資源枯渇を受け、国際自然保護連合(IUCN)は2014年にニホンウナギを「絶滅危惧IB類(EN)」に指定しました。これがうなぎ絶滅危惧種の指定理由であり、環境省も同様にレッドリストへ掲載しています。シラスウナギの取引価格は不漁年において1キロあたり数百万円という、金にも匹敵する暴騰を記録することが常態化しました。水産研究・教育機構などによる卵からの完全養殖技術は開発されているものの、大量生産に伴う莫大なコストや稚魚の生残率の課題から、商業ベースでの完全普及には至っていません。
対するマアナゴも資源管理の必要性は叫ばれているものの、海外産(韓国や中国など)を含めた海洋天然資源の漁獲網が確立されており、稚魚を囲い込む養殖ではなく天然漁獲が中心であるため、シラスウナギ相場のような投機的・構造的な価格跳ね上がりが起きにくい構造となっています。