なぜ固くなる?プロが教えるイカの茹で方と柔らかく仕上げる黄金比

なぜ固くなる?プロが教えるイカの茹で方と柔らかく仕上げる黄金比

なぜ固くなる?プロが教えるイカの茹で方と柔らかく仕上げる黄金比について知っておくべき 事実を厳選して解説いたします。

プロの現場が厳格に守る基本原則は「沸騰湯に放り込んで放置しない」ことです。理想的な火加減は、鍋底から小さな気泡がフツフツと立ち上る80〜85℃前後の「微沸騰(ポッシェ)」状態。完全にグラグラと沸き立つ100℃の熱湯は、イカの繊細なタンパク質にとっては熱破壊の要因にしかなりません。

イカの形状や厚みによって、加熱時間は秒単位で厳密に区別されます。短冊切りや輪切りにした切り身であれば、沸騰した湯に差し水をして温度をわずかに下げ、イカの湯通し秒数はわずか15秒〜30秒で十分です。身が白く濁り、クルリと軽く丸まった瞬間が引き上げのサインとなります。

もうひとつの重要なポイントが、湯から引き上げた後の処置です。野菜のように「すぐ氷水に落としてキンキンに冷やす」行為は、イカにおいては重大な悪手になりかねません。氷水に浸けすぎると、せっかく身の中に閉じ込められていたグルタミン酸、グリシン、タウリンといった水溶性の旨味エキスが全て水中に流出し、水っぽく味の抜けた食感に成り下がります。プロは茹で上がったイカを素早くザルに上げ、うちわや扇風機で一気に送風して冷ます「おかあげ(陸上げ)」を行い、余熱の進行を止めつつ旨味を凝縮させます。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。