『魔女の宅急便』に登場するパン屋に関して、インターネット上では長年にわたり「特定のモデル店舗が存在する」という言説が語り継がれてきました。しかし、スタジオジブリの公式制作記録および宮崎駿監督の過去の証言を精査すると、明確な事実関係が浮かび上がります。
劇中の舞台である美しい港町「コリコ」は、制作陣が公式にロケハンを行ったスウェーデンのストックホルムおよびゴットランド島のヴィスビューの街並みが主たるベースとなっています。中世の石造り建築やバルト海を望む景観が融合して作られた架空の街であり、特定の1軒のパン屋をそのまま模写したわけではありません。
一方で、ファンの間で「モデルになった」と世界的に有名になったのが、オーストラリア・タスマニア州にある「ロス・ベーカリー(Ross Bakery)」です。19世紀から続く伝統的な薪窯を持つ同店は、建物の外観や屋根裏部屋の構造が劇中のキキの部屋と酷似していることから、バックパッカーやファンの口コミを通じて聖地化しました。現在では店舗側も公式に作品への敬意を表しており、世界中のジブリファンが訪れるカルチャースポットとして定着しています。