二人の関係性を語る上で決して外すことができないのが、角川書店から刊行されたベストセラー小説『サヨナライツカ』だ。タイを舞台に「死ぬときに思い出すのは、愛した人か、愛された人か」という究極の問いを投げかけたこの純愛小説は、執筆段階から妻であった存在が色濃く投影されていた。
のちにスクリーン化された映画版において、切なくも妖艶なヒロイン・沓子を演じた現実の衝撃。フィクションとリアルが複雑に交錯する中で、作中の一句一句は二人自身の未来を予言するかのような静かな重みを漂わせていた。創作と実生活が極限まで融合したこの試みは、当時の出版界や映画界においても類を見ない、あまりに過酷な自己表出の記録だったといえる。