宮城蔵王キツネ村の最大の魅力は、日本を代表するキタキツネをはじめ、銀黒色の毛並みが美しいギンギツネ、プラチナギツネ、そして極寒の地に生息するホッキョクギツネ(白ギツネ・青ギツネ)など、多彩な種が同じ敷地内で共生している点にあります。
キツネたちの美しさが頂点に達するのは、間違いなく初冬から初春にかけての降雪期です。秋口から生え変わる分厚い冬毛は驚くほどボリューミーで、白銀の雪原の上で丸まり、尻尾に鼻先を埋めて眠る姿は息を呑むほどの愛らしさを見せます。しかし、この幻想的な空間を無事故で楽しむためには、厳格な放し飼いエリアのルールを遵守しなければなりません。
現地取材および施設ガイドラインから抽出した、命綱とも呼べる基本規律は以下の通りです。
【放し飼いエリアにおける鉄則】
・立ち止まってキツネの目線までしゃがみ込まない(格好の攻撃対象と見なされます)
・手を出して触ろうとしない(100%噛まれる前提で行動すること)
・ビニール袋やキーホルダーなど、カサカサ音の鳴るものや揺れる小物を外に出さない
・落とした物は絶対に自分で拾わず、監視スタッフを呼ぶ(拾おうと手を伸ばした瞬間に噛まれます)
・指定の「専用エサやり場(キツネハウス)」以外で食べ物を与えない
特に配慮すべきは冬の防寒服装と持ち物です。蔵王山麓の標高約600メートル前後に位置するため、厳冬期の気温は氷点下まで冷え込みます。しかし、防寒対策として選んだ衣類が思わぬ事故を招くケースが散見されます。例えば、ヒラヒラと揺れるロングスカートやワイドパンツ、靴紐が長く垂れ下がったスニーカー、装飾用のファー(毛皮)が付いたダウンコートなどは、キツネが小動物やおもちゃと誤認して飛びつく危険性が極めて高くなります。
推奨される装備は、キツネの爪や歯が引っかかりにくい滑らかなナイロン・ポリエステル素材のアウター、動きやすいパンツスタイル、そして雪道に対応した滑り止めの効いたスノーブーツです。手荷物はリュックサック等にすべて収納し、両手を完全にフリーにしておくことが身を守る最大の防壁となります。