「吉列豬扒」は、広東語で「ガッリッジュパー(Gāt-liht jyū-pá)」と発音します。このユニークな漢字の並びには、香港が歩んできた東西文化融合の歴史が色濃く反映されています。
前半の「吉列(ガッリッ)」は、英語の「Cutlet(カツレツ/パン粉をつけて揚げた肉料理)」の広東語による音訳(当て字)です。そして後半の「豬扒(ジュパー)」は、豚のロースや骨付きあばら肉を意味する「ポークチョップ(Pork Chop)」を指します。すなわち、吉列豬扒とは「ポークチョップのカツレツ」という意味を持ちます。
イギリス統治下にあった香港において、西洋の高級ホテルの洋食カツレツが庶民の街角レストラン(茶餐廳)へと普及する過程で、中華の調理技術と調味技法が惜しみなく注入されました。その結果、本家イギリスのポークチョップとも、日本のとんかつとも異なる独自の「香港B級グルメ」の最高峰が誕生したのです。