あれほど団地の花形として歓迎されたスターハウスは、なぜ全国の団地から一気に姿を消してしまったのでしょうか。その背景には、日本の住宅事情の急速な変化と3つの構造的限界がありました。
第1の理由は、「住宅の大量供給」と「高層化」への方針転換です。1960年代半ば以降、都市部への人口集中がさらに加速すると、1棟あたり十数戸程度しか収容できないスターハウスでは供給が追いつかなくなりました。公団は限られた敷地により多くの世帯を収容できる中高層の板状住棟やツインコリダー型住棟の開発へシフトしていきます。
第2の理由は、バリアフリー化とエレベーター設置の難しさです。スターハウスの多くは階段室を中心にした5階建て以下の低中層建築でした。住民の高齢化が進むなかでエレベーターの増設が求められましたが、1フロア3戸の特殊な三叉構造では後付け工事が技術的・コスト的に極めて困難でした。
第3の理由は、老朽化に伴う団地の大規模建て替え事業です。平成に入ると初期公団住宅が一斉に更新期を迎え、容積率を有効活用した近代的なタワーマンションや高層賃貸住宅へと建て替えが進みました。その過程で、維持管理の手間や耐震基準の課題から、多くのスターハウスが解体される運命をたどったのです。