物語は、見知らぬ荒野で目覚めた鈴木悟が、ゾンビの群れが蠢く滅亡した都市を探索するところから幕を開けます。そこで彼が出会ったのが、幼い容姿をした吸血鬼の少女、キーノ・ファスリス・インベルンでした。
イビルアイの正体「キーノ」の哀しき過去
本編で冒険者チーム「蒼の薔薇」の切り札として登場する仮面の魔法詠唱者「イビルアイ」。作中でその正体は、かつて大陸中東部に存在した「インベリア国」の王女キーノであることが判明します。インベリアはある日突然、国中の生命が一瞬にして魂を奪われ、アンデッド化するという壊滅的な災厄に見舞われました。
キーノだけが自我を保ったまま生き残れた理由は、彼女が生まれ持っていた規格外のタレント(天賦)にありました。彼女のタレントは「周囲で発動した魔法の力をそのままコピーしてストックする」という能力。災厄をもたらした邪悪な術式を無意識に模倣したことで、皮肉にも彼女自身が最上位の吸血鬼へと変貌し、両親や国民が理性を失ったゾンビと化す中で、たった一人取り残されてしまったのです。
「鈴木悟」としての旅路と絆の芽生え
ナザリックの部下たちの前で「絶対支配者」を演じる重圧から解放された鈴木悟は、キーノの孤独に深く共鳴します。彼は自身を救世主ではなく、一人のアンデッド魔法詠唱者として位置づけ、キーノを元の少女へ戻す治療法と、異世界の未知なる知識を求めて二人旅に出ることを決意します。
二人は「アインズ・ウール・ゴウン」という共通の旅団名を名乗り、世界各地を巡ります。長い歳月を共にする中で、キーノは悟を「サトル」と呼び、絶大な信頼と淡い恋慕を寄せるようになります。本編で見せる冷徹な虐殺者アインズとは対照的に、心穏やかに相棒を見守り、成長を喜ぶ鈴木悟の人間味あふれる姿は、多くの読者を深く揺さぶりました。
始源の魔法を操る「朽棺の竜王」との決戦
物語のクライマックスで対峙するのが、インベリアをはじめとする多数の国家を滅ぼした元凶、朽棺の竜王(キュアエリメ=ロスヴァール)です。数百万のアンデッドを鎧のように身に纏うこの真なる竜王は、プレイヤーの魂を喰らって放つ究極の始源魔法「滅魂の吐息(ソウルブレイカー・ブレス)」を行使します。
このブレスは直撃すれば魂ごと消滅させられ、蘇生魔法すら無効化されるという即死攻撃でした。しかし、鈴木悟が所持していた「世界級アイテム(ワールドアイテム)」が始源の魔法の理不尽な効果を完全に遮断。悟は持ち前の冷徹な戦術眼、課金アイテム、そして超位魔法を駆使した極限の情報戦を展開し、激闘の末に朽棺の竜王を完膚なきまでに撃破します。
衝撃のラストシーン:200年後のナザリック
強敵を討伐した二人は、世界中を冒険する「アインズ・ウール・ゴウン旅団」としてさらに仲間を増やし、200年という平穏で幸福な歳月を重ねます。しかし物語の掉尾、唐突に現実を突きつける不穏な報告が舞い込みます。――大陸のどこかに、謎の巨大建造物「ナザリック地下大墳墓」が突如として出現したという一報でした。
本編の時系列に追いついたその瞬間、悟は仲間たちと共に新たな脅威の調査へ向かうところで幕を閉じます。キーノと築いた幸福な絆の前に、本編の自分自身の「影」であるナザリックが敵として立ちはだかる可能性を示唆する、極めてビターで衝撃的な結末となっています。