1つの漢字表記に対して「しゅっしょう」と「しゅっせい」という2系統の読みが存在する理由は、漢字が日本へ伝来した歴史的背景(音読みの種類)にあります。
「生」という漢字には、古代中国の南方から仏教とともに伝わった「呉音(ごおん)=ショウ」と、その後に遣隋使や遣唐使によってもたらされた標準的な「漢音(かんおん)=セイ」の2つの音読みがあります。「誕生(たんじょう)」や「一生(いっしょう)」に見られるように、仏教や古くからの生活に根ざした言葉には呉音(ショウ)が定着しました。これに引っ張られる形で「出生(しゅっしょう)」という読みが法制度や伝統的な記録に定着していきました。
一方で、近代以降は漢音(セイ)を基本とする教育が進んだため、「発生(はっせい)」「生産(せいさん)」のように「生=セイ」と読む感覚が自然になり、「しゅっせい」という慣用音が広く一般に普及したという経緯があります。