事件が発生したのは、2017年2月13日の午前9時前のことです。マカオ行きの航空便に乗るため、クアラルンプール国際空港第2ターミナル(KLIA2)の自動チェックイン機を操作していた金正男氏(当時45歳、偽名「キム・チョル」名義の旅券を所持)の背後から、2人の若い女性が音もなく接近しました。
空港の防犯カメラ映像には、ベトナム国籍のドアン・ティ・フォンとインドネシア国籍のシティ・アイシャが、前後から正男氏の顔面を両手で覆い、何らかの液体を直接擦り付ける決定的な瞬間が記録されていました。襲撃にかかった時間はわずか2.33秒。2人の女性は犯行直後、手を顔から離した不自然な体勢のまま足早に別々のトイレへ向かい、手を激しく洗い流しました。
異変を感じた正男氏は空港警備員に「顔に液体を塗りつけられた」と助けを求め、空港内の医務室(クリニック)へ自力で歩いて移動しました。しかし、医務室に入った直後から容態が急激に悪化。激しい痙攣、発汗、瞳孔の縮小(縮瞳)を引き起こして意識を失い、プトラジャヤ病院へ救急搬送される救急車の中で息を引き取りました。襲撃から死亡確認まで、わずか約20分の出来事でした。