足湯スパの温水は、人間にとっても快適であると同時に、細菌にとっても増殖のための絶好の温床だ。通常、水温30度前後に保たれたタンクには、不特定多数の利用者が裸足を投げ入れる。靴擦れ、毛抜きの跡、あるいは自覚のない小さな掻き傷。そこから病原体が水中に溶け出し、次の利用者の皮膚バリアの隙間へと侵入する。
特に危険視されているのが、免疫力が低下している人物や糖尿病患者の感染症発症である。傷口から侵入した細菌が血流に乗ると、短時間で全身性の炎症を起こす敗血症を引き起こしかねない。海外で報じられた深刻な事例では、水中に潜んでいた多重薬剤耐性菌が足の骨組織まで達し、壊死性筋膜炎を併発。救命措置としての肢体切断や、最終的に敗血症性ショックで命を落とす事態にまで発展した。癒やしを求めたわずか数十文の足湯が、人生を一変させる悲劇へと直結しているのだ。