戦場の女王が楊端和であるならば、秦国中枢の闇を支配したクイーンは太后(趙姫)に他なりません。嬴政の実母でありながら、かつて趙国の邯鄲で味わった壮絶な人質生活のトラウマから心を歪め、後宮勢力を率いて嬴政・呂不韋の権力争いに第三極として割って入りました。
太后は偽宦官の嫪毐(ろうあい)を寵愛し、密かに二人の子をもうけると、山陽・太原の地を拠点に「毐国(あいこく)」を建国。秦国を揺るがす大規模な反乱(嫪毐の乱)を引き起こしました。その背後には、乱世に翻弄され続けた一人の女性の悲痛な叫びと愛憎が渦巻いています。
政治的影響力と後宮支配力において、太后はまさに中華全土を巻き込むほどの力を持った「裏の女王」であり、キングダム屈指のドラマツルギーを生み出した重要人物です。