円滑な退職を実現するためには、書類を出す順序とコミュニケーションの段取りが極めて重要です。実務において推奨される標準ステップは以下の3段階です。
- ステップ1:直属の上司へ口頭で打診(退職希望日の1〜2か月前)
メールやチャットで個別の面談アポイントを取得し、静かな会議室で口頭にて退職の意思を伝えます。 - ステップ2:合意形成後に「退職願」を提出
退職日や業務引き継ぎの目処が立った段階で、正式な書面として退職願を手渡します。 - ステップ3:会社側の事務手続き指示に応じて「退職届」を提出
就業規則上の規定や退職手続きパッケージの一環として指定様式がある場合、あるいは会社側から要請された場合に退職届を提出します。
自己都合退職の場合、事前の相談なしに突然「退職届」を突きつける行為は、業務の引き継ぎ態勢や組織のスケジュールを乱す原因となり、関係性の悪化を招きやすくなります。ただし、過度な引き止めやハラスメントによって退職交渉が不当に遮断されている局面では、民法上の権利を行使するために退職届を直接提出(または内容証明郵便等で送付)する判断が実効性を持つケースもあります。
なお、会社の倒産やリストラ、事業所閉鎖などに伴う会社都合退職の場合、労働者自らが退職願や退職届を提出する必要は原則としてありません。安易に「一身上の都合」と書いた退職届を出してしまうと、雇用保険(失業手当)の給付制限期間や受給日数で不利な扱いを受けるリスクがあるため細心の注意を払う必要があります。