2026年に始まった医師の時間外労働規制から2年。残業時間の上限設定は、長年ブラック化していた医療現場の労働環境を適正化するための試みだった。実際に勤務時間の管理は厳格化され、データ上の残業数値は減少傾向を示している。
だが、現場の苦悩が消えたわけではない。限られた人員で従来通りの救急受け入れや高度手術を維持しなければならず、しわ寄せがどこかに寄る構造は変わっていない。ある若手外科医は「勤務時間が絞られた結果、執刀経験を積む機会が減り、技術継承のスピードが鈍るのではないか」と懸念を口にする。健康的な働き方と医療技術の錬磨。その二者選択に苦しむ現場の苦悩は深い。