歌舞伎の舞台で鍛え上げられた立ち居振る舞いと繊細な表情筋の動きは、テレビドラマの世界でも絶大なインパクトを与えてきました。尾上菊之助が映像の世界で見せる演技は、気品と冷徹さ、そして情熱が同居する唯一無二のものです。
特にTBS日曜劇場『下町ロケット』で見せたベンチャー企業社長・伊丹大役や、木村拓哉主演の『グランメゾン東京』におけるライバルシェフ・丹後隼人役は、視聴者の間で大きな話題を呼びました。単なる悪役ではなく、プロとしての誇りと苦悩を抱えた立体的なキャラクターを見事に体現し、ドラマの質を一段引き上げる立役者となりました。
さらにNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、銀幕の大スター・初代桃山剣之助(モモケン)役を熱演。往年の時代劇スターが持つ風格と色気を完璧に再現し、幅広い世代のお茶の間にその実力を知らしめました。歌舞伎界のトップでありながら、映像の世界でも第一線のクリエイターからオファーが絶えない理由は、徹底した役作りと真摯な人間性にあります。