1993年、柿傳ギャラリーでの父子三人展。これが中里太亀にとって重要な転機となった。
自身の作品を公の場で発表する経験。父や兄弟と並んで評価される機会。この展覧会で、彼は独立した陶芸家としての歩みを本格的に始めた。
1995年の伊勢丹新宿店での個展では、東京という大都市の観客に作品を披露した。都市生活者の反応は、彼の作品に対する新たな視点を与えた。実用性と美の両立という彼の哲学が、幅広い層に受け入れられることを確認した瞬間だった。
アジアから欧州へ広がる活動
2014年、台北福華沙龍での父子四人展。この展覧会は、中里家の陶芸が国境を越えて評価される契機となった。台湾の観客は、唐津焼の素朴な美しさに強い関心を示した。
2016年と2020年、日本橋三越本店での個展。日本の伝統的な百貨店での個展は、陶芸家としての地位を確固たるものにした。三越という舞台は、彼の作品が広く認知される機会を提供した。
そして2019年、パリのENYAAでの個展。フランスの芸術都市で日本の伝統工芸を紹介する。この経験は、太亀に新たな視座を与えた。異文化の観客が、彼の器のどこに価値を見出すのか。その答えは、彼の今後の創作に影響を与え続けるだろう。