本来、免疫とは体内に侵入した敵を排除し、身体を守るための防衛部隊である。しかし、敗血症においてはその精巧な制御機構が脆くも崩壊する。
暴走した免疫細胞は、全身の血管内に炎症性物質(サイトカイン)を撒き散らす。いわゆる「サイトカインストーム」の発生だ。これによって毛細血管が次々とダメージを受け、微小な血栓が全身に形成される。結果として酸素や栄養が届かなくなった肺、腎臓、肝臓などの主要臓器が機能停止に陥っていく。朝方に「なんとなく体がだるい」と感じていた人が、夕方には呼吸器を着けなければ命を保てなくなるほどのスピードで急変する理由がここにある。